日本のダイズの栽培について

日本ではダイズをよく食べられるのに生産量が低い理由

日常生活で納豆、豆腐、醤油、味噌、豆乳など様々なダイズ製品を口にする機会がある日本ですが、ブラジルやアメリカと比較してなぜ生産量が低いのでしょうか? 大きな理由のひとつは、栽培面積が圧倒的に少ない点が挙げられます。そもそも日本はダイズの栽培面積以前にブラジルやアメリカと比べ国土も小さく、農地もおのずと小さくなります。またその上、単に反収が低く、ブラジルやアメリカと比較すると半分以下の反収となっています。

反収が低い要因のひとつは品種にあります。世界的に見るとダイズの用途は搾油用が最も多く、食用のサラダ油やマヨネーズの原料だけでなく、印刷用油や石鹼の原料、塗料などの工業用にも幅広く利用されています。特にブラジルの大豆油はバイオディーゼル燃料として多く利用されます。また、搾油された後の搾りかすは主に家畜の飼料として用いられます。日本ではダイズを原料とした伝統食品が多く食されるため、例外的に食用としての消費が高く、品種の改良も品質や味、食用加工しやすいものになる傾向が強くなる一方で、海外での品種改良は作業性や収量の向上を目的に品種を改良した背景があるからです。

ブラジル、アメリカのように栽培ができない理由

そもそも日本の栽培では、水田転作により土壌の物理性(ここでは特に通気性)の確保が難しい点や真夏の高温により根粒菌の活動が低下しやすい点などが挙げられます。その上、ブラジルやアメリカのような栽培を行いづらい事情もあります。例えばブラジルのように根粒菌を接種しても、基肥を施用する日本では土壌中の窒素濃度が高くダイズと根粒菌が共生しづらくなります。また、新しく開墾することの多いブラジルでは土着の根粒菌が少なく、接種した根粒菌が活発に働くのに対し、日本の土壌には元々ある程度根粒菌がおりその多くは窒素固定能力が低いのに根粒を付ける力が強い種で、せっかく根粒菌資材を使っても土着の根粒菌との競争に負ける傾向にあります(日本では根粒菌資材の使用は北海道では一部普及しています)。では、アメリカのように地力に頼る栽培方法はどうでしょうか。アメリカではトウモロコシで多肥して地力を底上げし、ダイズを育てます。しかし日本の場合は水田の転作が多く、イネもダイズも比較的地力を消耗する作物の為、地力の向上が難しくなります。以上より、ダイズの多収を狙うためには、他国の真似をするよりも品種の改良や日本の気候、土壌、栽培管理にあった方法を考えることが重要です。

各地のダイズの窒素施肥について

日本でのダイズの生産は以下の様になっています。

収穫量についてはダイズの作付面積が多いと高くなり、反収は北から南になるにつれ低下する傾向があります。また北海道は他の都府県と異なり、作付面積、反収、収穫量が飛びぬけて高く、作付面積に占める畑の割合も高くなっています。その上、北海道は比較的冷涼であり、水田転作ではない圃場も多いため根粒菌が活発に活動していると考えられます。北海道の施肥標準(2020年版)によると基肥の窒素は、地区・土質に限らず1.5~2.0kg/10aと統一され、生育後半に根粒の活性が劣る圃場では開花始頃に窒素を5kg/10a程度追肥するとなっています。筆者のイメージにはなりますが、比較的粘土質の土壌の多い道央地区で追肥を行うことが多い印象です。本州以南の場合は基肥のみの施肥体系をとることが多く、これは根粒菌を頼りにするというよりは、水田転換畑の場合は夏季に気温が上がり窒素が湧いてくる可能性や前作の残肥があるためと考えられます。都府県・畑の状態によりさまざまですが、都府県の施肥標準の基肥窒素は0~6kg/10a程度の幅があるようです。追肥については品種により行うケースと播き遅れによる初期生育不良を軽減するケースで推奨されています。

ほどよく窒素を効かせ続けると…

近年では緩効性肥料を含んだ高窒素のダイズ一発肥料も省力化、収量増の観点から使用する農家が増えてきています。当社においても、本州をメインにダイズの一発肥料の提案を行っています。一般的な化成肥料などと比べると肥料自体の価格は高くなりますが、高窒素であるため施肥量が抑えられ大きなコストアップになりにくい特長があります。また、昨今の天候不良により生育が安定しない、必要な時に追肥ができないなどの不安も少なく、もちろん手間もなく、結果的に増収するケースが報告されています。

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