世界のダイズの栽培方法とは?

ダイズはこんな作物

ダイズなどマメ科作物はコムギやイネなどのイネ科作物より生産性が低い傾向があります。この要因として、子実のタンパク含有量が高く、その形成に多量の窒素を必要とするためです。多くの作物は光合成をすることで収量を上げることができますが、ダイズは光合成するだけでは増収に繋がりにくく、特に子実肥大期には茎葉のタンパク質を分解して子実に供給するようになり、種々の生理的活性(光合成を含む)が低下し、登熟期間が短くなるなど窒素吸収量が収量を左右します。

世界のダイズ事情

2021年のFAO統計によると、世界で最もダイズの生産量が多い国はブラジルで13,493万トン。次いでアメリカが12,071万トンでした。2018年まではアメリカが1位、ブラジルが2位でしたが、2019年より逆転しています。日本はというと22位で生産量は24万トン。ちなみに2021年度の日本のダイズ自給率は、概算で7%(農林水産省調べ)で、残り93%の輸入ダイズの多くは油や飼料として使われています。これら製油や飼料用を除いた食品向けのみの自給率は24%になり、国内外のダイズの生産性・品質の向上などが重要であることがわかります。

国による栽培方法の違い

一言にダイズの栽培と言っても、気候やダイズ以外に栽培する作物の種類などに合わせて国ごとにその栽培方法は異なります。それはダイズ生産量の多い国であるブラジルとアメリカでも違います。

≪ブラジルの栽培方法:根粒依存型≫

ブラジルはダイズの生産量が世界一位であるにもかかわらず、費用対効果の面から窒素の施肥は通常行わず、窒素の供給は根粒と地力に依存しています。しかしながら、ブラジルは冬でも平均気温が15℃前後と比較的暖かな国。有機物の分解は早く、地力はそこまで期待できません。そこでブラジルの多くの農家は根粒菌の接種をしています。ブラジルでのダイズの根粒菌による窒素固定寄与率は7~9割と言われており、マメ類の中でもトップクラスで高く、根粒菌の貢献度は非常に高くなります。また、ブラジルでは定期的にスコールがあり、土壌の物理性も比較的よく、ダイズの登熟期に地温が下がらないなど、根粒菌にとって非常に活動しやすい環境であることも増収の一因です。ただし、日本の土壌と違い、改良が進んでいない土壌は酸性であり、根粒菌が土壌で長期的に生存しにくい点や新規開拓した土壌には元々根粒菌が少ないなどの理由により、根粒菌の接種は定期的に行う必要があります。

≪アメリカの栽培方法:地力依存型≫

アメリカのダイズ栽培が盛んな場所は中西部のコーンベルト地帯に集中しており、ダイズ-トウモロコシ輪作体系で栽培されます。アメリカのトウモロコシ栽培では、倒伏しづらい品種を用い、収量を上げるために窒素肥料を多投します。その量は多い場合で40kg/10aもの窒素が一作に使用されます。多投された窒素肥料と収穫後のトウモロコシの残さが土壌に多く残り、トウモロコシ作付け後の土壌は窒素・炭素が著しく高まります。この窒素は後に硝酸態窒素となり地下水の汚染の原因となるなど、環境問題にもなっています。一方でダイズは、根粒菌により空気中の窒素が固定化されますが、その7割は子実に蓄積され圃場から持ち出されます。また、子実が充実する過程で茎葉部にある窒素も子実に移行することから、トウモロコシと比較し土壌へ還元される窒素は少ないと言われています。ダイズはもともと地力を大きく消耗させる作物であり、アメリカの場合はトウモロコシ栽培で地力を維持・向上し、ダイズの収量を安定させているのです(トウモロコシ栽培時に窒素肥料を多投し過ぎた場合でも、ダイズにより土壌の硝酸汚染を軽減)。

≪日本のダイズ栽培方法:施肥対応型≫

日本でのダイズの栽培は、通常、初期生育を確保するためにスターターとして基肥で窒素を2~4kg/10a施用しています。さらに全国の作付面積の3割弱で窒素の追肥も行っています。一方で日本での根粒菌の接種については、北海道で行っている農家がいるものの本州以南ではあまり取り入れられていないのが現状です。日本での根粒窒素固定寄与率は報告により異なり、およそ3~7割とバラつきが大きく、圃場の環境・土壌などに大きく左右されます。例えば、日本のダイズは水田の転作で作られることが多く、湛水することで土壌を緻密化し、物理性を悪化させることも根粒菌の活動を鈍らせる一因となります。その上、ダイズ・水稲ともに土壌の地力を消費しやすい作物であり、地力の向上も難しくなります。よって、追肥を含め日本ではダイズに窒素肥料を与えることで収量を確保する傾向になります。

 
このようにダイズの栽培方法は土壌や気候などの環境に合わせて様々な方法があります。そして日本のダイズ栽培方法は施肥をうまく利用することがポイントですが、日本国内でも地区によりその施肥は異なります。次回は国内の施肥事情についてお話をしたいと思います。

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