気象災害と作物の栽培

今年も梅雨や秋雨時期に起きた豪雨、8月から10月にかけての台風など、各地で大きな気象災害が発生しました。とくに8月末の九州北部豪雨や台風15号・19号の被害を受けられた皆様へ謹んでお見舞いを申し上げると共に、被災地された地域の一刻も早い復興をお祈りいたします。

写真(1):雨に叩かれて傷んだハクサイ
写真(1):雨に叩かれて傷んだハクサイ
写真(2):左側は葉面散布で植え傷みの手当てをした
写真(2):左側は葉面散布で植え傷みの手当てをした

異常気象は増えているのか

「異常気象」という言葉の定義は『同じ場所で30年に1回起こるかどうかの非常にまれな気象現象』だそうです。2010年以降、世界中で熱波・寒波・集中豪雨や洪水など多くの異常気象が発生しており、間違いなく異常気象は増えているのだそうです。日本国内でも猛暑日の平均日数は、1990年代半ばから極端に多い年が頻発しており、アメダスが1日400ミリ以上の降雨量を観測した日数も、まるで連動するかのように同時期から極端に多い年が増えているそうです。

地球温暖化と異常気象の関係

地球温暖化と異常気象の関連性については様々な意見があり、ここでその是非を問うつもりはありませんが、気象庁の統計によると台風の基になる熱帯低気圧活動について『観測されている長期的な増加はいずれも確信度は低い(増えたとは言えない)』としています。
しかし、気温の上昇・海水温の上昇により台風がより大型化し、前線の影響による降雨も激しくなっていることは間違いありません。

異常気象と作物の生育

近年発生頻度が増えている猛暑に伴う干ばつや、河川の氾濫を伴うような豪雨だけでなく、季節外れの長雨や少雨など、異常であるかには関係なく作物の生育を阻害する気象現象は常に発生します。
露地であれ施設であれ、作物栽培には常に「天候によるブレ」が付きまとうもので、そのブレが作物の生育や収量に直接影響します。
それ故に昔から農業は『お天気次第』という言われ方をされるのでしょう。

備えと手当てで被害の軽減を

天候のブレによる影響はどうにもできないことなのでしょうか?
土砂の流入や、河川の氾濫は止めようも無いものですが、高温・干ばつ、長雨や台風の影響をゼロにはできずとも被害を軽減することはできるのではないでしょうか。
例えば、水稲の乳白米は猛暑が続くと発生が多くなると言われますが、根量の増加により軽減される事は以前から知られています。また長雨で見られる畑作物の生育の遅延は、根の呼吸阻害によって起こることも知られています。即ち、その問題を解決すれば被害を軽減できるはずです。
圃場面積や経営規模による制限もありますが、台風などの強風被害を軽減する方法もゼロではありません。被害を最小限に抑える備えと、最大の回復を図る手当てで「天候のブレ≠収量のブレ」としたいものです。

写真(3):神奈川県三浦市の風対策(スイカ)
写真(3):神奈川県三浦市の風対策(スイカ)
写真(4):神奈川県三浦市の台風対策(キャベツ)
写真(4):神奈川県三浦市の台風対策(キャベツ)

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